【試乗記】アストンマーティン DB11 “GT”究極の高みへ…山崎元裕 | Spyder7(スパイダーセブン)

【試乗記】アストンマーティン DB11 “GT”究極の高みへ…山崎元裕

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アストンマーティン DB11
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アストンマーティンは、2013年に創立100周年を迎えた。そしてこれまでの100年に続く、次なる100年、すなわちセカンド・センチュリーに、さらに大きな成長を遂げるために、アストンマーティンはさまざまなニューモデルの開発に積極的だ。

シリーズ途中で大きな規模のマイナーチェンジが実施されたとはいえ、約12年もの長きにわたって生産が継続された『DB9』。その後継車として発表された『DB11』は、まさにこのセカンド・センチュリーの幕開けを飾るに相応しい、彼らの野心作なのだ。

DB11は、そのアピアランスからもアストンマーティンに新たな時代が訪れたことを感じさせてくれるニューモデルだ。伝統的なロングノーズスタイル、あるいはグリルのデザインは継承されてはいるものの、DB11のボディーにはさまざまな技術革新がある。フロントのホイールハウスから高圧でエアを導き、それをフロントフェンダー後方のベントから排出する手法は、サーキット走行専用車として誕生した、あの『ヴァルカン』にも見られる手法。リアクオーターウインドウにエアインテークを設け、ここから導入したエアをテールエンドの可変式フラップの後方から排出し、整流効果を発揮させるというテクニックも興味深い。さらにボンネットのデザインによって、歩行者と衝突した時の安全性を高めるなど、まさにデザインとエンジニアリングの両面から、理想的、かつ究極的な造形を生み出されていることが分かる。

インテリアの雰囲気も、DB9に象徴される、これまでのアストンマーティン車からは大きく変わった。スタート時に、クリスタル製のキーを専用のスロットに差すという儀式がなくなってしまったのは残念だが、スタートスイッチの押し方で、クワイエットモードでの始動を可能にするなど、実用性はさらに高められている。

12インチのフルカラーTFT LCDディスプレイによるメーターパネルは、数タイプのグラフィックを選択することができるが、いずれもその視認性は高い。センターコンソール上のディスプレイは、インフォテインメント専用となり、ロータリーコントロールやタッチパッドによる操作、あるいはジェスチャーコントロールにも対応。その操作性やデザインからは、すでに発表されているアストンマーティンとメルセデスAMGとの間で締結された、新たなアライアンスの存在がダイレクトに感じられる。

DB11の走りは、ステアリングを握る前の想像をはるかに超えたものだった。ドライブをスタートして、まず驚かされたのは、新たなプラットフォーム、そしてボディー構造が実現した剛性感だ。アルミニウム製のパネルを、リベットや接着工法を用いて成型する手法は、これまでのモデルから変わることはないが、パネル製法などが見直されたことで、構成部品の数が削減されたことなどが、剛性面、そして重量面でも大きな効果を発揮しているのだ。ちなみにアストンマーティンによれば、DB11のホワイトボディーは、DB9比で39kg軽く、また15%ほど高い剛性を備えているという。同様の比較でホイールベースは65mmが延長されていることを考えれば、これは相当に大きな技術的進化と評価してよいだろう。

フロントミッドシップされるエンジンは、DB11のためにアストンマーティンが新開発した、5204cc仕様のV型12気筒ツインターボ。アストンマーティンは将来的には、V型8気筒エンジンの供給を、メルセデスAMGから受けることを決定しているが、プレミアムブランドの象徴ともいえるV型12気筒エンジンを、完全自社開発で存続してみせたことは、カスタマーには何よりのトピックスといえる。

608psの最高出力、そして700Nmの最大トルクは、もちろん走りの中でも大いに魅力的に感じるものだった。感動的だったのは、それがマルチシリンダーの自然吸気エンジンと変わらない、パワー&トルクのキャラクターとスムーズさ、そして官能的なエグゾーストノートを備えていたこと。その一方でアイドリングストップや、低負荷時に片側バンクを停止、しかも約20秒間のスパンで、触媒温度の低下を防ぐために、そのバンクをスイッチするという、シリンダ・オン・デマンドのシステムを採用するなど、こちらも新時代を担うモデルとしての話題性には事欠かない。

8速ATをリアにレイアウトすることで、51:49という前後重量配分を実現したDB11。その効果はもちろんコーナリングに確実に表れている。DB11では、シャシー、そしてパワーユニットの各々で独立して、「GT」、「スポーツ」、「スポーツプラス」のモードを選択できるが、スポーツプラスでも、その乗り心地にはまだまだ十分なしなやかさがあるし、逆にGTではプレミアムサルーンにも匹敵する、快適なドライブを楽しむことができる。これは前作のDB9でも同様に感じたことだが、アストンマーティンのコアモデルたる、DBシリーズのコンセプトは、あくまでもGT=グランツーリズモにある。それを最新の技術を用いて、究極の高みへと導いてみせたのが、このDB11というニューモデルなのだ。

このDB11から、はたしてアストンマーティンは、どのようなセカンド・センチュリーを我々に提案してくれるのだろうか。早くも次なるニューモデルへの期待が高まってきた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

山崎元裕|モーター・ジャーナリスト(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
1963年新潟市生まれ、青山学院大学理工学部機械工学科卒業。少年期にスーパーカーブームの洗礼を受け、大学で機械工学を学ぶことを決意。自動車雑誌編集部を経て、モーター・ジャーナリストとして独立する。現在でも、最も熱くなれるのは、スーパーカー&プレミアムカーの世界。それらのニューモデルが誕生するモーターショーという場所は、必ず自分自身で取材したいという徹底したポリシーを持つ。

【アストンマーティン DB11 試乗】“GT”究極の高みへ…山崎元裕

《山崎 元裕@レスポンス》

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