【試乗記】アウディ S5スポーツバック、913万円という価格も、その完成度に納得…内田俊一 | Spyder7(スパイダーセブン)

【試乗記】アウディ S5スポーツバック、913万円という価格も、その完成度に納得…内田俊一

アウディのスポーティモデル『S5』をベースに、利便性とデザイン性を兼ね備えた『S5スポーツバック』を900kmほどテストに連れ出したのでご報告しよう。

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アウディ S5スポーツバック 新型
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アウディのスポーティモデル『S5』をベースに、利便性とデザイン性を兼ね備えた『S5スポーツバック』を900kmほどテストに連れ出したのでご報告しよう。

『A5クーペ』の美しさにステーションワゴンの機能性、そしてセダンの快適性を兼ね備えたとされるスポーツバック。A5シリーズの過半数がこのスポーツバックを選んでいるという。

そのA5をベースに3リットルV型6気筒インタークラー付きターボを搭載、354ps、500Nmを発揮。アウディお得意のクワトロ、フルタイム4WDと8速ティプトロニックのトランスミッションが組み合わされたクルマが、S5スポーツバックだ。

◆出足は一瞬遅い印象

センタークラスター右奥にある、クリック感のあるスタートストップスイッチをカチっと押すと、滑らかにV6エンジンは目覚めた。少しごつく感じるセレクターレバーを手前に引きDをセレクト。軽くアクセルを踏み込むと自動で電磁式パーキングブレーキは解除され、ゆっくりとS5スポーツバックはスタートした。

ここでの第1印象は2つある。ひとつはあれ?と思うくらいトルクが出てこないこと。もうひとつは乗り心地がいいことだった。

前者は190psというA5に対し354psというハイパワーの期待もあったのだろう。それを踏まえ軽くアクセルを踏み込んだためのようだ。また、アウディとしてもいきなりあふれるようなパワーとトルクを演出するよりは、街中での乗りやすさを目指したものと思われる。したがって強く踏み込めばもりもりとパワーはあふれてくる。

◆驚くほど良い乗り心地

もうひとつの乗り心地の良さには本当に驚いた。テスト車両のタイヤサイズは255/35R19(コンチネンタル コンチスポーツコンタクト5P)を装着していたが、そのサイズや低扁平を全く感じられず、改めてサイズ等を確認したほどだ。この理由は高いボディ剛性にある。

開口部が広いにもかかわらず、フロア周りやステアリングの取り付け部分を含めたボディ剛性が高いためだ。しっかりと路面からの衝撃をボディが受け止めるため、その分足回りのセッティングの自由度が上がる。その結果、S5スポーツバックはしなやかな足周りを得られたのだ。この印象は第1印象からテスト車両の返却まで、いかなる路面状況や速度域でも変わらなかった。

また、S5スポーツバックには、もともとSモデル専用にチューンされたダンピングコントロール機能付きのスポーツサスペンションが標準装備されている。新開発の CDC(連続ダンピングコントロール)ダンパーは、そのピストンのなかには電子制御の電磁バルブが設置されており、その働きによりダンパー内のオイルの流速が変化して、連続的に減衰力が調整される仕組みだ。

高い演算能力を備えたシャシーCPUが搭載されたことで、多様なセンサーからの情報も瞬時に解析されるため、4輪のダンパーを、それぞれを独立して制御することが可能になった。ダンパーバルブの制御幅も広いため、ソフトな乗り心地から引き締まったハンドリングまで、非常に幅広い特性が得られるという。それが非常に有効に働いているようだ。

◆ワインディングでは一回りサイズが小さくなったような印象

街中から高速に乗り入れてみる。料金所から一気にアクセルを踏み込むと、あふれてくるトルクとパワーに思わずニヤリとしてしまった。その時でもクワトロシステムはしっかりと路面をとらえて離さず、矢のような直進性をドライバーに与えてくれる。

この時に少し気になったのはステアリングの応答性だ。街中でもクイックだと思っていたステアリングレスポンスだが、高速でもその印象は変わらず、慣れるまではレーンチェンジの際など気を使う場面もあったので、中央付近はもう少し鈍なセッティングでもいいだろう。

ワインディングロードでダイナックモードを選択すると、ボディサイズが1周り以上小さくなったイメージで、全てが小気味よくコーナーをクリアしていく。アクセルレスポンスもダルな印象はなく、ほんのわずかなコントロールが効くようになり、まさにスポーツカーライクなドライビングを楽しむことができたのも驚きだった。

◆相変わらずナビは…。

さて、全体として好印象なS5スポーツバックだが、細かいところで2つ(そのうちのひとつは細かくはないが)気になることがあった。ひとつはドアミラーの位置と形状だ。ドアから生えているため、右前方の視界が確保されているのは評価される点だが、その位置が低く、また外に行くにしたがって細身に、そして上側か削られていく形状は決して褒められるものではない。見た目、そして空力の関係でこの形状が選ばれたのだろうが、最も見たい鏡面端の上部がなくなってしまっているので、そこの位置にいるクルマや二輪車に気付かないことがままあったので、ぜひ改善を望みたい。

もうひとつはナビゲーションだ。これは全てのアウディに共通するのだが、目的地設定の際の様々な操作方法が他のメーカーのものと違い、共通性は皆無といっていいだろう。それによって使いやすくなっていればいいのだが、決してそうではない。文字入力も決してやりやすいものではない。せっかくバーチャルコックピットなどユニークなデジタルデバイスでナビ画面が見やすくなっているのだから、より使いやすいユーザーインターフェイスを望みたい。

最後に燃費について記しておこう。込んだ街中では8.5km/リットル、郊外の空いたバイパス路などで10km/リットル、高速では13km/リットルを記録した。3リットルターボということを考えれば妥当な燃費といっていいだろう。

全てを兼ね備えたスポーティサルーンといっていいS5スポーツバック。それぞれのボディタイプの良いとこ取りなので、中途半端感があるかとは思いきや、走らせている限りでは決して手抜きは感じられない。唯一913万円という価格がネックとなるだろうが、この完成度を考えれば、高いとはいい切れない良さがある。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

内田俊一(うちだしゅんいち)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラと同じくルノー10。

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《内田俊一@レスポンス》

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