マツダ MX-30 EV 新型試乗!ハンドルにアクセル、レバーでブレーキ、自操車にEVを選んだ理由…丸山誠 | Spyder7(スパイダーセブン)

マツダ MX-30 EV 新型試乗!ハンドルにアクセル、レバーでブレーキ、自操車にEVを選んだ理由…丸山誠

自動車 ニューモデル
マツダ MX-30 EVモデル Self-empowerment Drive Vehicle(自操車)
  • マツダ MX-30 EVモデル Self-empowerment Drive Vehicle(自操車)
  • マツダ MX-30 EV 自立支援車両(「Self-empowerment Driving Vehicle」)
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  • マツダ MX-30
マツダ『MX-30 EV』(以下MX-30)は、クルマとして優れた乗り心地とハンドリングを実現しているのは、以前インプレッションをお届けしたとおりだ。

MX-30に今秋追加予定なのが、福祉車両の手動運転装置付きのモデル。マツダは59年前にすでに手動運転装置を開発していて、当時の『R360』に搭載して市販もしていた。福祉車両自体が珍しい当時としては、自動車メーカーがこうしたモデルを開発するのはまたまだ少数だった。マツダが当時手動運転装置を開発した背景には3代目社長の松田恒次氏が、少し足が不自由だったからという。「すべての人にクルマを持つ幸せを提供したい」という思いから開発したという。

現在福祉車のラインアップは『ロードスター』、同RF、『マツダ2』、『CX-5』、『フレアワゴン』があるが、ここに加わるのがEVのMX-30だ。

◆世界初の切り替え式を採用

足などの下肢障がいがある方は、アクセルやブレーキのコントロールが上手くできず、アクセルやブレーキペダルの操作を手で行うことが多い。ただし、これらの操作方法はさまざまなタイプが用いられていて、ドライバーに合わせたカスタマイスを行っている架装会社もある。

MX-30に設定される自操式車両「self-empowerment Driving Vehicle」は、世界初の切り替え式を採用している。健常者と身体が不自由なドライバーが簡単な切り替えによって、操作方法を変えられるという点で世界初というわけだ。従来の福祉車両でも健常者とクルマを共用するものはあるが、手動タイプはペダルをプレートでカバーするなど切り替えに手間がかかっていた。友達と運転を代わりながらドライブを楽しむということが、現実的にはやりづらかった。

マツダの画期的な切り替え機構は、下肢障がい者が運転する場合、手動ブレーキを押し込みながらイグニッションオンで手動操作の身障者車両に切り替わる。健常者が使うときにはノーマル車と同様にブレーキペダルを踏みながらイグニッションオンで、通常どおりアクセルペダルでの運転が可能になる。

マツダ MX-30 EV 自立支援車両(「Self-empowerment Driving Vehicle」)
今回のself-empowerment Driving Vehicleの特徴は、アクセルをステアリングのグリップに沿わせたリングタイプを採用している点。この方式はドライビングにこだわる人が多いヨーロッパで主流の方式で、日本にもずいぶん前から架装会社などが輸入している。

筆者はかなり昔、クローズドコースでイタリア製のグイドシンプレックスを装着したスポーツカーに試乗したことがあるが、これもステアリングに沿わせたアクセルリングを持っていた。グイドは軽い操作感で、指によるスピードコントロールなので微妙な調整ができ、スポーティに走れたことを記憶している。ちなみにMX-30の装置はマツダの独自開発だ。

ちなみに、マツダロードスターの手動運転装置付車は、センターコンソール横のコントロールグリップを引くと加速、押すと減速するタイプ。MX-30がヨーロッパタイプのアクセルリングタイプを新たに開発し採用したのは、運転中の自由度の向上と自然な姿勢でドライビングできるからだという。ドライビングにこだわり続けるマツダらしい。

このリングタイプでもいろいろな操作方法があり、リングを指で引くタイプもあるが、マツダはリングを押す、プッシュタイプだ。

◆誰にでもドライビングの楽しさを提供できる

マツダ MX-30 EV 自立支援車両(「Self-empowerment Driving Vehicle」)
試乗はマツダの横浜R&Dセンターの敷地内で行った。ステアリングの左側にセットされブレーキレバーを押し込みながらイグニッションオンにするとリングレバーがアクセルとして機能する。ステアリングを持ちながら親指でリングを押すとスムーズに加速してくれる。EVだからできる加速のスムーズさと静かさは、ハンディキャップドライバーに新たなドライビングの楽しさを提供できるはずだ。じつに使いやすく微妙なアクセルコントロールを指で簡単にでき、ステアリングを両手で持っているため微妙な操作やドライビングの楽しさがノーマル車と変わらない。

カーブ手前での減速は手動ブレーキレバーを押すのだが、アームレストが独自の形状をしているため肘を支点にして押し込むと微妙なタッチのブレーキングができた。ステアリングを回しながらカーブからの脱出ではリングアクセルを押すわけだが、直線でステアリングを持つと親指部分が太く操作しやすいが、カーブではステアリングを回しているためリングの細い部分を押すこともある。その場合に指がアクセルリングをうまく押せないこともあった。

構内をたった2周しただけだからもう少しドライビングを練習すれば、リングをスムーズに押すことができるのだろう。リングがもう少し太くでもいいと思うが、これも慣れの問題かもしれない。プッシュタイプのアクセル操作は、ステアリングを押して回すドライビング操作とよくリンクしているため、慣れればかなりスポーティなドライビングもできそうだ。

◆EVを選んだ理由に納得

マツダ MX-30 EV 自立支援車両(「Self-empowerment Driving Vehicle」)
また、車いすを収納するためにフリースタイルドア(観音開きの後部ドア)を電動開閉タイプに変更しているのも特徴。これは車いすを後席に収納した後、どうしても手が届きにくくなるフリースタイルドアを自動で閉めるものだが、ノーマル車でもこの機構が装備されたら便利だろう。

開発者にEVを選んだ理由を聞くと、健常者ではなかなか気づきにくい点も理由だった。ガソリン車などのICE(内燃エンジン)はどうしてもガソリンスタンドに給油に行く必要があるが、セルフが進んだ昨今では身障者にとってスタンドでの給油はとてもやっかいなものなのだ。EVなら自宅で車いすに乗った後に充電プラグを挿せばいいだけ。AC200ボルトの3kW普通充電でも12時間で満充電になる。

手動運転機能付きのクルマを探している身障者の方や共用する家族の方にも、このクルマが新たなドライビングを楽しめるモデルになるはずだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

丸山 誠|モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。先進安全装備や環境技術、キャンピングカー、キャンピングトレーラーなどにも詳しい。

【マツダ MX-30 EV 新型試乗】ハンドルにアクセル、レバーでブレーキ、自操車にEVを選んだ理由…丸山誠

《丸山 誠@レスポンス》

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